研究成果のプレプリントをarXivで公開しました。
無料でどなたでもアクセス出来るので
試しにクリックして見て頂けると嬉しいです。
Noncommutative Generalized Gibbs Ensemble in Isolated Integrable Quantum Systems
雰囲気解説
この研究のテーマは統計力学の基礎についてです。(平衡)統計力学は物理学科の3年生ぐらいで習う、既に確立した物理の理論体系ですが、実はなぜその理論体系が正しく機能しているのかという基礎については未だに議論があります。21世紀になる頃から、この基礎に関する研究が急速に活発になって理解が深まって来ました。その中で明らかになってきたこととして、可積分系と呼ばれるある種の系は、通常のギブス分布ではなく、一般化ギブス分布というもので表されるという発見があります。とは言え、この一般化ギブス分布を持ってしても表せない系があることも知られており、一般化ギブス分布の適用範囲については完全には分かっていません。
我々は今回の研究で、一般化ギブス分布のさらなる一般化の可能性を提案して、実際にこれが実際の状態をより正確に表すことを示しました。また、そもそも一般化ギブス分布がなぜ状態をよく表せるのかについての見通しの良い説明も与えました。統計力学の基礎の理解がまた一段深まったと思っています。
研究の裏話
筆頭著者は研究室のM1のF君、第2,第3著者はF君の先輩院生、そして僕が最後の著者です。F君はとても意欲的な学生で、こういった基礎的なテーマに興味があるということで、同部屋の先輩院生を巻き込んだチームを編成して研究をスタートしました。こういった試みは初めてでしたが、議論が活発になってとても刺激的な日々でした。F君は荒削りですがやる気に満ち溢れていて、自分のM1の頃はまさにこんな感じだったなぁと笑 何はともあれ成果になったし良かったです。
現在、論文は投稿して査読中なので、まだ道半ばといったところです。これから査読者との激闘が待っています。ちなみにarXivに出してから、かなり反響があって、海外の研究者3名、日本の研究者1名からメールで連絡を頂きました。この先どうなるか、楽しみです。
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