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Multivalley Free Energy Landscape and the Origin of Stripe and Quasi-Stripe CDW Structures in Monolayer MX 2 Compounds | Scientific Reports
雰囲気解説
物理には相転移という概念があります。例えば、温度を下げると水が氷になること、別の例としては温度を上げると磁石が磁石でなくなったりすることなどです。MX2(遷移金属ダイカルコゲナイド)と呼ばれる物質群があり、これは温度を上げ下げすると、何度も相転移して色んな電子密度の空間パターン(=電荷密度波, CDW)を示すとして古くから知られています。そのうちいくつかのCDWを再現する理論モデルが知られていましたが、(準)ストライプCDWがなぜ存在するのかについては十分に理解されていませんでした。我々は従来の理論モデルをこれまで以上に詳しく調べることにより、実はこの理論モデルには(準)ストライプCDWも含まれていることを発見しました。研究の裏話
共同研究者のT先生(実験家)とは、2017年の夏にコルシカ島で行われた研究会で知り合いました(!) 自分がちょうどこの物質に興味を持っていて、T先生はこの道の大家ということで、色々とディスカッションをさせて頂きました。2018年度に北大のT先生の研究室を訪問してこの研究をスタートしました。T研の大学院生のNさんがメインプレーヤーとして、大変な計算を根気強くやってくれたおかげで研究は着実に進み、2019秋に投稿、割とすんなり論文が採択されました。印象的だったのは、(1) 専門家のT先生が今回の結果を全くの予想外だったと仰っていたこと、(2) 「複雑過ぎて無理かもな〜」と自分が思っていた計算をNさんが時間をかけてやり遂げてくれたこと(根気と腕力に脱帽)、です。全員が持ち味を出してシナジーが生まれた非常に良いコラボレーションになりました。
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