Time Crystals Protected by Floquet Dynamical Symmetry in Hubbard Models

2020/04/01

オープンサイエンス 研究成果

t f B! P L

研究成果のプレプリントをarXivで公開しました。
無料でどなたでもアクセス出来るので
試しにクリックして見て頂けると嬉しいです。

Time Crystals Protected by Floquet Dynamical Symmetry in Hubbard Models

雰囲気解説

物理で最もカッコいいものの一つに対称性というものがあります。対称性というのは例えば、まんまるのボールを回転させても形が変わらないとか、正方形を90度回転させても形が変わらないとか、そういう特徴のことです。

なんでカッコいいかというと、対称性は物理の基礎方程式の形を定めたり、方程式の答えを泥臭く解かずに与えてくれたりするのです。物理屋さんは皆、一度は二度は対称性の魔法にクラっと来た人種なのです(断言)

対称性はそういう由緒正しいものなのですが、「古来からの意味では対称性ではないけど、なんか対称性っぽいもの」が最近イギリスのグループが提案しました(dynamical symmetry)。我々はこれを周期的に振動する非平衡系に拡張して Floquet dynamical symmetryと名付けました。

さらにこのFloquet dynamical symmetryがあるとき、時間結晶(time crystal)と呼ばれる不思議な状態が現れることを示しました。時間結晶は「ひとりでに時を刻む物質」だそうです(by 日経サイエンス)。


我々の見つけたタイプの時間結晶はこれまでに提案されてきたものと色々と特徴が違うことも分かりました。詳しくは是非論文を御覧ください!

研究の裏話

去年の暮れからようやく(これまで何度も挫折してきた)
arXiv の論文を毎日チェックするようになったんですが
その中で、上で言った「イギリスのグループの論文」を見つけました。
面白そうだなと思って、中身をろくすっぽ読まずにC君に送りました。

2人とも読むことはなく時は経ち・・・笑

ある日、C君がたまたま思い出したように読んでくれて
周期駆動系にしたら面白いのではと考えてくれまして。
計算の提案をしてくれたと思ったら、数日後には結果も出ていて
自分としては、話を聞いてコメントしていたら
1ヶ月ぐらいで出来上がっていました笑
自分は論文書きである程度貢献しましたが、
実質的なことはすべてC君がやってくれました。凄いです。

実働1ヶ月とは言っても、C君が長い間温めてきたアイディアが
一気に結実したというのがおそらく実情で。
その長い間を見てきた自分としては、喜びもひとしおです。

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自己紹介

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東京大学 物性研究所 (柏キャンパス) で物性物理学の理論研究をしています。 ブログは最近撮り始めた写真の公開と日記を中心につらつら書くつもりです。 ごくたまに、研究活動に関わる有益な情報を発信出来たらいいなと思っています。

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