強く駆動されたフロケ系の加熱を記述するフェルミの黄金律

2021/05/09

オープンサイエンス 研究成果

t f B! P L

研究成果のプレプリントをarXivで公開しました。

無料でどなたでもアクセス出来るので

試しにクリックして見て頂けると嬉しいです。

Fermi's Golden Rule for Heating in Strongly Driven Floquet Systems




雰囲気解説

一定のリズムでバシバシと延々叩かれた物質のことをフロケ系といいます。
僕は最近、健康(と自己実現)のために、なわとびをしていますが
これもフロケ系になりきって物理の理解を深めるためです(嘘)

主に念頭にあるのは、レーザーを照射された物質の内部です。
物質内の電子がレーザーによってバシバシ叩かれてフロケ系になるわけで、
そこで色々と不思議な現象が起きたり、
人工的に物質機能を操作したりできるのでは、と言われています。

でもバシバシをずっとやってると物質が発熱して、やがてぶっ壊れてしまいます。
この過程で物質がどういう状態になっていて、加熱がどう進んで行くのか、を調べました。
「フェルミの黄金律」という、フェルミが発見したわけでもないのに、フェルミの名前がついているこの理論にインスパイアされて、このフロケ加熱を記述する理論を作りました。

加熱を知れば、加熱を制することができる・・・かどうかは次回作にします。

研究の裏話

去年、関連するテーマで論文を書きました:

そこで具体例として扱ったのは電子1個の問題でした。
しかし偉い人もmore is differentとか言ってるし
電子がたくさんになった場合、
何かディフェレントになってるんちゃうかと、気にかかっていました。

それで少し関係する計算をやって、論文らしき物をほぼ書いたんですが、
「専門家が見て面白いと思うかどうか、聞いてみよう」と思い立ち
学生時代留学させてもらった、ボストン大学の先生に送ってみました。

それで「ぶっちゃけ、あんまり面白くない」と笑
なので一旦その原稿はお蔵入りにしたんですが
それから議論が始まって、気がつけば新しい研究ができました。

結局一度も対面で会わずに、全てメールとzoomで完結しましたが
コロナ禍でこういう体制も日常化してきて、だからこそできた研究かもしれません。
状況が良くなれば、またボストンを訪問したいです。


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自己紹介

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東京大学 物性研究所 (柏キャンパス) で物性物理学の理論研究をしています。 ブログは最近撮り始めた写真の公開と日記を中心につらつら書くつもりです。 ごくたまに、研究活動に関わる有益な情報を発信出来たらいいなと思っています。

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